テキスト:ヴァイオリニストとして聴衆の前で演奏することは人生でこの上なく素晴らしい経験だ。 己のヴァイオリンで聴衆に夢を見せたいならまず自分が夢見ることだ!ù 今の私はヴィエニャフスキやパガニーニやイザイよりもバッハやモーツァルトやヒンデミットやフランクの曲を喜んで弾く。ヴィエニャフスキとバッハとモーツァルトを演奏して感じるものはそれぞれ異なるし、同じ曲を弾いても演奏はそのたびに変わる。それは特別な何かが加わるからだ。 それぞれの音楽の異なるスタイルや時代性に突き動かされて、私は異なる形でモーツァルトやバッハやパガニーニを描き出す。 ヴァイオリンの音にある何かが作曲家の違いを創り出す要素の一つなのだと私は思う。 ステファノ・ジュリアーノがレパートリーの中から提案するのは、DVDがまだ存在しない無名の無独奏ヴァイオリン、例えばヒンデミットのソナタなどだ。 同時にヴァイオリニストにとって二大巨匠といわれるバッハとパガニーニの、独自の解釈による演奏も聞きのがせない。 ヒンデミットの無独奏ヴァイオリンのためのソナタには、シンプルなメロディー、小楽節の組み立て、対位法的な部分など彼のバッハへの傾倒が見られる。 バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第1番、ヒンデミットのソナタ第1番と第2番、そしてパガニーニの奇想曲第1-10-18-19-24番がDVDに録音されている。
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